第11章 『プロ』として
まだ授業は始まっていないせいか、席に座っている生徒はほとんどいない。
赤羽くんも渚くんのところで喋っている。
ワイワイと騒がしいクラスメイトを見て、カエデは『まだみんな座ってないのにぃ~』と頬を膨らませている。
――ガラガラ
ふと教室の扉が開かれる。
ビッチ姉さんだ。
みんな静かになり、ビッチ姉さんの方を見ている。
寺坂くんや吉田くん達はやはりビッチ姉さんを睨みつけている。
――カッカッカッ
ビッチ姉さんはチョークを手に取り、英文を書き始めた。
(ビッチ姉さん…どうするつもりなんだろ…)
気がつくと、みんな席についていた。
「You are incredible in bed. Repeat!」
(…???…どういう意味だ?)
英語が大の苦手科目の私にとってはビッチ姉さんの言っていることはちんぷんかんぷんな文章だった。
「「・・・」」
さすがにみんな戸惑っていた。
「ほら」
「「Yo、You are incredible in bed.」」
ビッチ姉さんが催促するとみんな、ビッチ姉さんの言葉を繰り返した。
「アメリカでとあるVIPを暗殺した時にまず、そいつのボディーガードに色仕掛けで接近したわ。その時彼が私に言った言葉よ」
(口説き文句?あれ?でもベットって…)
「意味は…ベットでの君は、スゴイよ」
((中学生になんて文章読ませんだよ!))
「////」
私は自分でもの凄いことを口にしたと知り、あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にした。
「…ののちゃん、顔赤いよ?w一緒に保健室行く?w」
赤羽くんは顔を真っ赤にしている私を見て、からかっている。しかもわざわざベットのある保健室を出してきた。
「け、結構です…///」
赤羽くんはニヤニヤした表情で「そっか♪」と言い、正面に向き直った。
(もぉ…赤羽くんのバカ…///)
「外国語を短い時間で習得するにはその国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ。相手の気持ちをよく知りたいと必死で言葉を理解しようとするのね」
「・・・」
私は思わず聞き入ってしまった。
(相手の気持ち…)
私は思わず赤羽くんの方を見た。