第7章 赤羽 業
ど、どうしよう!
「これ、俺だよね?」
赤羽くんは改めてもう一度聞いた。
「あ、あの…これは…」
(ダ、ダメだ…!いい言い訳が思いつかない…!)
私は下を向いて目を瞑る。
「ふぅん、相変わらず上手だね。これ、もらっていい?」
「えっ?」
私の思っていたこととは裏腹に、意外と好意的な言葉が出てきた。
「い、いいけど…」
「ん?何?」
「え、だって赤羽くんの絵を勝手に描いたんだよ?気持ち悪くない?」
「いや?別に?」
赤羽くんはキョトンとしている。
「そ、そうならいいけど…」
(よ、よかったぁ…)
「それじゃ俺はここで」
そう言って赤羽くんは曲がり角を曲がって行ってしまった。
「あっ…」
はぁ…絶対変な風に思われたなぁ…
あぁ!なんであのスケッチブックに描いちゃったのぉ~!
「はぁ…」
私はテクテクと家に帰っている途中で思わずため息を漏らす。
(もう夜だよぉ…お腹減ったな…コンビニでパンでも買おうかな…)
そんなことを考えながら下を向いて歩いた。
「ねぇねぇ君ぃ~、一人ぃ~?俺たちとこれから遊ばなぁい?」
「えっ?」
顔を上げるとガラの悪い男が3人声をかけてきた。
(うっわぁ、なにこいつら…)
「あ、あの…私、帰りたいんで…」
「おうちなんかに帰らないで俺らと朝まで遊ぼうぜ?」
「いや…あの…」
「なぁいいだろ?ちょっと遊ぶだけだよ」
(えぇ、なんかめんどくさいことになってるんですけど…)
「なぁなぁ?」
そう言って手首をグッと掴まれる。
「ちょっ…い、痛いです…!」
「あぁごめんごめん」
そう言うと私の顎をクイッと持ち上げた。
「君、可愛いねぇ…?」
ニヤリと下品な笑みを浮かべている。
(キ、キモッ…!!)
「イ、イヤァ!」
そう言って私は男の手を弾いた。
「ってぇ・・・てめぇ、なめた事してんじゃねぇぞ!」
「キャア!」
殴られそうになり、目を瞑る。
「――バゴッ!」
「ぐわぁ!」
「えっ・・・?」
――「大丈夫?ののちゃん」――