ハン×ハン《 刻まれる時の中の...》~恋愛物語~
第2章 シケン×ノ×ジュケンシャ
『いい?お母さんはね、強くはなかったけど頭は良かったの。そのお陰でお父さんとも会えたの。
あなたが生まれたのも、私の頭脳のお陰。
ハンター試験にたどり着くためには、より強い人に気づかれずについていく方法が確実よ。
念の使える強い人なら、ハンターになることだって容易いはずだから』
お母さんは少し変わった人だ
目の前にいる人も、変わった人だ
「う、わぁあああああっっっ!!!」
「あ~らら★腕が花びらになって消えちゃった♪...種も仕掛けもございません◆」
私がついてきた奇妙なオーラを放つ人は、ピエロのように笑顔を絶やさない
それどころか、人が喜ぶところではなく、人が苦しむ様を見て喜んでいる
(怖い...)
「大丈夫か?」
茶色のさらさらショートヘアの男の子...トヒロが心配そうに私の顔を覗き込んでいた
「大丈夫。ちょっとショックだっただけだよ。あんな人がハンターになるなんて...」
あのオーラは気持ち悪いけど、強いことは確かだ
私の体が意思に関係なく震えてくるのを、幼馴染みとも呼べるトヒロはそっと包んでくれる
「大丈夫だ。お前は俺が守る」
「私のほうが、実践ではよく勝つのに?」
「...うるせぇ。空気ぶち壊すな」
ったく...と呟きつつも、私の事をちゃんと考えてくれるトヒロに私は何度も助けられている
さっきもトンパと名乗るおじさんから貰った、何かが入っていたらしいジュースを私が飲まないようにしてくれた
(あれを飲んでいたらどうなったんだろう...)
周りを見ても、トンパさんのジュースを飲まずに吐き出している少年、吹き出すおじさん、地面に溢している人...
(やっぱり何か入ってたんだ...)
...と、そのゲロゲロと音がしてきそうな吐き方をしている少年の瞳が気になった
前にお父さんの見せてくれた憧れのハンターリストに乗っていた、【ジン】という名のハンターのまっすぐな瞳に似ていた
彼はジンと関係があるのか
気になって、私を呼ぶトヒロを無視してその少年の元に走った
「ねぇ、君は誰?」
こんなように、知らない人に話しかけられて驚かない人はいないよね