ハン×ハン《 刻まれる時の中の...》~恋愛物語~
第3章 ピエロ×ト×キジュツシ
ヌメーレ湿原
通称、詐欺師の塒
名前の由来はよくわからないけど、詐欺師という分、何かしら罠があるに違いない
気を張り詰めて慎重にいかないと...
「ルイ、なんか走りにくいんだけど」
「私はそういうのわかんないよ!」
「湿原は、足場がぬかるんでいるぶん足元を掬われて体力を消耗するぞ」
クラピカが助け船で説明してくれた
「へ~さっすがクラピカ!」
「誉めるほどの事ではないさ」
トヒロがバカみたいに目を輝かせ、クラピカはあくまでも冷静に対応する
「はっ、ふっ、ほっ、へっ」
レオリオが意味不明の息づかいで一生懸命走っている
(さっきのコースでも苦しかったんだから、このコースはさらに苦しいよね...大丈夫かな?)
「レオリオ~クラピカ~トヒロ~ルイ~!!キルアが前に行ってた方がいいって!!」
ゴンが前の方から大声で叫ぶ
キルアが感じたのは、先程から不自然にピエロさんを囲んでいる厳つい人たちの殺気の事だろう
大したことない男達だが、変な風に挑発して、私たちを巻き込むようなことがなければいいんだけど...
「バカヤロー!!行けるもんならとっくに行ってるわ!!」
レオリオはその事を考える余裕もなさそうだ
いざとなったら、私とトヒロで一緒に対応すればなんとかなるかも...
私はちらりとトヒロを見た
トヒロも同じことを考えていたようで、目が合い、笑った
ゴンとキルアは、巻き込まれないように先に行ったらしい
私たちは、レオリオとクラピカを守ればいい
...しかし、姿は見えなくてもオーラを感じ取れるから先頭集団は見失うことはなくても、地形に関しては自然の摂理でバラバラだから走りにくい
クラピカたちは、まだ念を知らないから視界に頼るしかない
前の人たちが頼りだ
前の人たちは、ちゃんと道が見えているのだろうか...?
...ふと、前の人の首がポロ、ポロ、と音をたてるかのように簡単に崩れていった
...気配でわかる
大きい何かの存在を...
「なんだ!?」
不意に現れたのは、人の顔くらいもある大きなイチゴだった
ふらふらと人が寄っていけば、人は悲鳴をあげながら浮いていく