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俺は悪くない。

第4章 第二章 一部


 トレーラーの前に人だかり出来て始め、何やら話し込んでいる野次馬。これはただ事ではないと思った俺は、側まで行こうとバイクのハンドルを握った。
 その瞬間、何かがぶつかったような軽い衝撃を足に感じた。

 俺が蹴飛ばした得体の知れないソレは、地面の上をゴロゴロと転がっている様子。
ふと目線を落とせば、見ず知らずの爺と目が合った。

(なんだ、人か──)

と、安心して動き出そうと思ったが、ある事に気付き慌ててハンドルから手を放す。

「人!?」

 俺は声を張り上げ、もう一度同じ場所へ視線を戻した。
すると、また爺とかち合う視線。何かを言いたそうにしているが、やけに背の低い爺は何も話さない。

 それもそのはず。なにせ、そこに存在しているのは頭部だけ。つまり、身体が無いのだ。
 普通に考えて、それは異常な事。しかし、更に怖い事が俺を待ち構えている。

「なんで──」

 俺はゴクリと息を呑み、力一杯目を見開いた。

 衝撃的な出来事に、俺は驚きを隠せない。
なぜなら、その爺さんの顔が、先程見た爺の顔と酷似(こくじ)していたからだ。

 と、なると、燃料タンクに付着したのは間違いなく血液。
生々しい色のそれに触れる と、指を追うようにうっすらと赤い跡が残る。

「俺の人生終わりだああああ──」

 自暴自棄になった髭面の運転手は、ガンガンと頭を車へ何度も打ち付けていた。

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