• テキストサイズ

レッテル 2

第1章 絶望の宴



白川は先程起こった事を、迅速かつ簡潔的に説明した。
遥香は終始相槌(あいづち)をうち、それを聞いていた。
棗もまた然り。
話の終わる頃には、遥香は涙を流していた。

「……あの子……よっぽどあなたが好きなのね。」

涙を拭いながら、遥香が誠也を見ている。

「……俺 はを―――」

「でももう、 に関わらないで欲しい。危険なことに巻き込ませたくないのよ。」

真剣な表情で口から出される言葉。
それが何より誠也の心を締め付けた。

「母さんっ!!それはいくらなんでも――」

横から棗が叫んでいる。

「……最後まで聞きなさい。危険な事に巻き込まないで欲しいのは本音。でも、関わらないでって言うのはあまりにも可哀想ね。お互い好き同士なら。」

遥香の口許が緩んだ。

「大丈夫よ、あの子なら死なないわ。だってパパの子供ですもの、根性だけはきっとあるわ。あたしは、そう信じてる。」

ニッコリと遥香が笑った。

「……あ。」

ふと顔を上げた誠也は目を見開いた。

何故なら遥香の笑顔が大好きな人の笑顔と重なって見えるから。

元気になれるあの笑顔が目の前にある。

「はい………。」

誠也は小さく答えた。




/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp