第2章 木槿の花『信念』
ここが京の都…。人がたくさん。こんなにたくさんの人の中からお兄ちゃんをさがしだせるかな?すごい不安になってきた。
「おい、坊主、邪魔だよけろ」
「お断りします。他にも道は広くある。人によけてもらわないと通れないなんて貴方はいつもどんな生活をしているんですか?」
私は正直なことを言った。ただそれだけなはずなのに、相手は刀を抜いた。
「てめえみたいなガキが俺たち勤王の志士にたてつく気か?」
ヤバっ、この人たち不逞浪士!?あんまり刀を使うの好きじゃないんだけどな…。
「貴方がその気であるならお相手しましょう。」
「そのケンカちょっと待ったぁ~!」
駆け抜けてくる音が聞こえると思ったら、平助くんだった。ひさびさに見るけど、あんまり変わってなさそう。うん。
「お前も早くこっち通って行けよ。」
「…ちっ。最近のがきは…。」
「助けていただいてありがとうございました。その羽織は新選組ですね?」
「え?あぁ、そうだけど。」
「お礼をしたいのですが、参ってもよろしいでしょうか?」
「いいよ、別に礼なんて。」
「私、一度新選組の屯所に行ってみたかったのです!」
「…はぁ。仕方ないか。じゃあ来いよ。」
うまくいきそう。平助くんは騙しやすいと思っていたけどまさかここまでとは…。