第21章 純血

４人は、が話を静かに待っていた。

は重い口をゆっくりと動かし始めた。


「私が人間だった記憶は消えていたから、
だからあの人の事を
とぎれとぎれにしか思い出せないの・・・」


の言葉に、大倉は静かに頷いていた。

「あの人が私の前に現れたのは、
一か月程前だったと思う。
みんなが外に狩りに行っていた晩に
あの人は私の前に突然現れたの。
子供の時に会った時と同じように・・・」


渋谷「子供の時に？」


渋谷が食い付く。

は静かに頷いた。

そして、子供の時に会った時の事を話した。


安田「なんや、
そいつはその時から
が大倉と出会う事を知ってたんか？」


安田は不思議そうな顔で、
大倉を見ながら問いかけると、
大倉は答えた。

大倉「は、彼女の生まれ変わりだから・・・」


渋谷と安田は、納得して頷いた。


渋谷「じゃ、
そいつは前の彼女の時から狙ってたんか。」


そう言うと考え込んだ。

は、三人を見ながら
ゆっくりと話し続けた。

「その人は私に言ったの。
純血のヴァンパイアの子供が欲しいって。
もう時間がないから、何としてでも、
もらいに来るって。」


そう言うとは、
恐怖のあまりしゃがみこんだ。

大倉がを支えるように抱きしめた。


大倉「もういいだろ、を
休ませてくれないか？」

安田は頷いて、
を連れていく手伝いをした。

は
二人の男に支えられながら、力なく立ち上がった。


渋谷「なんで、相手には純血のガキが必要なんや？」


安田は、渋谷が小さく呟いたのを聞き
小さく笑いながら


安田「俺、横ちょとちゃうから、
そんなんわからんよ」

そう言うと、みんなに笑いかけた。

その言葉に渋谷は何かを思いついた顔で

渋谷「俺は、横の後を追って会ってくる。
お前らはここで待ってろ！」


大倉と安田は、無言で頷いた。

二人の様子を見ると、
渋谷は部屋を出ていった。