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人を好きになるという事。

第3章 失礼な男の正体。


私を笑った男が煙草に火をつけてカウンターによしかかる。

失礼なヤツ!

そう思ってマジマジとその男を見た。

【こんな暗い店でサングラスなんかかけちゃって。。。でも。。。すごいオシャレな人だな。。】

黒のスキニーパンツに白のシンプルなTシャツ。

その上にライダースを袖は通さず肩からかけている。

キャップを後ろ向きにかぶり、真っ黒なサングラス。

煙草を持つ手にはゴツめのアクセサリーに高そうな時計。

今最悪な気分の私でも、少し見とれてしまうくらいだった。

ちらっとコチラをみた彼に見ていた事がバレるのはきまづい。

そう思ったら勝手に口が動いていた。

『ちょーだい』

なに?と言った彼に聞こえなかったんだと思い顔を近づけて催促した。

あぁ煙草か。と新しい煙草に手を伸ばしたから、彼のくわえ煙草を取って一口吸った。

『ごほっ。。。ま。。っず。。。』

そんな私に「吸った事ねーのかよ」と彼はまた笑った。

サングラスで目は見えないが、ケラケラと笑う彼の顔は。。。

なんてゆーか綺麗で。。。

ごまかすように彼のお酒を奪って一気に飲み干した。

「へんな女w」

『変で悪かったわね。どうせ女らしくないですよ。。』

別れ際あの最低男が言った言葉を地味に根に持つ私。

「ねぇ。風邪引くよ?」

そう言って彼は高そうなライダースを私の肩にかけた。

『ちょっ。。いい!汚れる!』

「じゃあさ。とりあえずココ出ない?」

『は?なんでアンタと。。』

「いいから」

そう言って眉をぴくっと上げていたずらそうに笑った彼は私の腕をつかんでそのまま外に引っ張りだした。

『ちょ。。どこ行くのよ』

「あ〜ちょっと待ってて」

彼はそう言うとどこかに電話をかけた。

「あ。俺先帰るから。うん。じゃあ明日な」

そんな彼の背中をただ呆然と見ていた。

『うぅっ!寒。。。』

すっかり雨はやんでいたが、外の風に濡れた体がさらされて身震いした。

「だーから言っただろw風邪引くってw」

電話を終えた彼が笑いながら結局ライダースを私にまた羽織らせる。

『あ。。ありがと。。』

お礼を言うと私の肩を抱いて歩き始めた。



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