• テキストサイズ

白い翼

第2章 先々代の部屋


「じ~ぃちゃん♪やほ」

足音もなく勝手に部屋に入ってきたのは孫の蘭だった。行く詳細を言わずに出て行った。本当にこの子は蘭なのか、少し疑った。

「蘭!?」

蘭には双子の妹、華が居る。顔で区別はきっと親でも出来ない。だが、テンションや喋り方などは明らかに蘭だった。

「ねぇねぇ、どっかの部屋ちょーだい。」

来て二言目がこれだ。華にはこんなことできない。

「いきなり来て何言ってる」

「あやめの隣空いてるでしょ。」

全く話を聞いていない。こういう子なのだ、蘭は。

「好きなとこ使え。でもなんであやめの隣空いてるってわかった?」

話を聞いている聞いていないなど問題では無い。部屋割一覧なんて作った事無い。なのにあやめの隣が空いてると分かった、それが問題だ。部屋割が他の一族にばれることは命に関わること。寝ている間に当主が襲われたら困るからだ。

「だってあやめの隣はあたしの部屋って決まってるじゃん♪あ、ねぇあたしが帰って来たこと言わないでよ」

やっぱりこの子は自由な子だ。

「この五年で変わったこと知ってるか?」

この子が知らないはずは無い。
/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp