第8章 第8Q:☆ふたりぶん☆<赤司>
~Side by 赤司~
執事「おかえりなさいませ。坊ちゃん・・・」
「ただいま・・爺・・はなは?」
執事「奥のお部屋でお休みでございます。」
「そうか・・・」
執事「・・・坊ちゃん・・・IH優勝おめでとうございます・・」
「あぁ・・・チームメイトがよくやってくれたよ・・・」
IH優勝を決めた後、数日間の休みが与えられた俺は、
久しぶりに京都から東京の屋敷へ戻ってきた・・・
「はな・・・ただいま・・」
ベッドにすやすやと眠っている、彼女に声をかけると・・・
ピクリと身体を反応させて、綺麗な瞳が開かれる・・・
はな「(おかえりなさい。征十郎・・)」
寝ぼけまなこのまま・・・
彼女の胸のあたりで綺麗な手が美しい蝶のように、
ヒラヒラと舞う・・・
「何か、変わったことはなかったかい?」
はな「(特にない・・・爺がいつもよくしてくれる)」
「そうか・・・寂しくなかった?」
はな「(平気・・・今年の全国大会も優勝したんだってね・・・
なんだったっけ・・イ・ン・タ・ハ・イ)]
手話でインターハイという単語がないのか、
彼女は一文字一文字を手で紡ぐ・・・
「そうだね・・こちらも変わりなく・・・ボクに敗北は無い・・」
そう言うと、少し悲しそうな顔をして・・
はな「(おめでとう)」と伝えてくれた・・・
はな・・・
どうして君はいつもそんな悲しい顔をするんだい・・・
ボクは敗北を知らない・・・
この先もボクに敗北はない・・・
はな・・・
君は、勝ち続けるボクに何の不満があるのだろう・・・