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ブリュレ

第9章 夢


店に着いたら、彼は私に話し掛けてきた。


錦戸「なぁ、何で本屋の店員に?」


私は少し恥ずかしそうに口を開いた。


「私、就職活動に失敗して、本当に落ちまくったんです。そして、やっと拾ってもらったんです」

彼は少し考えながら


錦戸「やから、あんなふて腐れて仕事してたんや」


「ふて腐れてって...」


私は、笑ってる顔を見つめた。

確かに出会った頃の私は、仕事態度は最悪でしたけどそんな言い方さると少し傷ついちゃう....


錦戸「俺、気が付いたら、この仕事してた」

自分の元に来たラーメンを受け取りながら、彼は呟いた。


錦戸「まぁ、適職やとは思うけどな」


「....いいですね」


私は箸を割ながら言った。


錦戸「おん、 何かしたい事あるん?」


その言葉に私は一瞬考えた....

私の夢は....


「まぁ、無理な事ですが....」


錦戸「なん、笑わへんから教えてやぁ」


私は一瞬、躊躇した。

絶対に笑われると思ったからだ。

でも、箸を止めて私の言葉を待ってる彼の目を見ると


「......絵本作家になりたかったんです」


重い沈黙が流れた。

私は、やっぱり錦戸さんなら無理だって ハッキリ言うと覚悟した。

錦戸「素敵な夢やん、なんで諦めたん?」


「えっ?」


私は、諦めた理由を必死で探していた。

何で諦めたんだろ?
必死で考えてる私を、彼は少し笑って

錦戸「夢ってさぁ、遠くてめっさ辛いけど、努力する事に俺は意味があると思うん....」


彼の言葉の重みに私は胸を打たれていた。


「努力する事に...」


錦戸「おん、叶う叶わへんとかは別としてさぁ、その夢への努力で、得るモノが宝になるとちゃうかなぁって」


私は、彼が私の夢を応援してくれてるのと勝手に思った。
その瞬間に自分の中で押し込めてた、夢への思いが目を覚ました気がした。







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