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Dye D? <番外編 丸山>

第2章 子供


その男の子は目を真っ赤にして泣いていたが、
僕を真っ直ぐ見据えていた。

何かを抱き抱えているのか?

丸山「...なに、それ?」

男の子は、慌てて隠す

僕は少し微笑んで言った。

丸山「大丈夫、何もしないって約束するよ」


すると、男の子はゆっくりと胸に抱えていた
モノを僕に見せてくれた。

丸山「....子猫?」

男の子は小さく頷いた。

錦戸「カラスのヤツが連れ去りよってん」


僕は、その子が抱えていた猫の様子をみた。

かなり弱っていた。

これは、もう無理かも...

丸山「...で、君は助けるために?」

僕が聞くと、彼は強い瞳を向けて


錦戸「やって、コイツ助けたらなアカンと思ったから」


僕は、クスッと笑った。

この子が可愛かったからだ。

正義感溢れて、真っ直ぐで...。


丸山「...偉いね」


その僕の言葉に、男の子は首を振った。

錦戸「しょーちゃんは、やめとけって言ったのに、

俺が、コイツを母猫から離してもうたん、

やってコイツ一番チビで、
兄弟猫にも虐められてたから...

俺が、世話しようと思って....

そしたら、カラスが...」


丸山「...そっかぁ」


辛そうに話す、男の子の頭を優しく撫でた。

そして、僕はその草むらに腰をかけた。

男の子は、突然に僕に抱きついてきた。


錦戸「....コイツ、もうダメかなぁ?」

やはり、子供でも分かるんだ

僕は、小さく首を振った。


丸山「大丈夫だよ...」


僕はそう言うと、小さく自分の親指に傷をつけた。

そこから血が滲む。

それを子猫の口に入れる。


我々の血には不思議な力がある。

大量に飲めば仲間になるが、
少量ならキズだけを治せるのだ。

不安そうに見つめる、男の子。

僕は、優しく微笑んだ。


子猫の傷がゆっくりと治っていく...。

それと同時に、男の子の顔も
明るくなっていく


錦戸「すげーっ、すげーっ」

元気に立って歩く子猫を見て、歓んでくれた。

丸山「...ふふっ、良かったね」

僕も、久しぶりに笑った気がした...

錦戸「ねぇ、お兄ちゃん?」


男の子は意を決した顔で話し掛けた。
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