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Dye D?

第33章 大切なモノ


横山、渋谷、丸山は黙って見守っていた。

私は薄れゆく意識の中、幸せを感じていた。

大倉の力のおかげで、胸のキズが消えていった。
それと同時に、首に痛みが走った。

渋谷「お前、この展開を見抜いてたんか?」

渋谷は驚き横山に尋ねた。

横山「まさか、俺もそこまではな...」

横山はニヤッと笑いながら、答えると大倉に近づいた。

横山「大倉、そこまででええ.....」

横山の声に大倉の牙が私の首から離れた。

その途端に、
私の血液中が暴れ出し、激しい痛みが走る。

「ぎゃぁぁぁぁ!!!!!」

私は床を転げながら、痛みに耐えていた。

横山「この傷みに耐えられたら、吸血鬼として転生する」

横山は冷たく私を見つめた。

大倉「…………………………」


呆けた様子で、何も話さずに、
膝をついて暴れる私を抱きしめた。


その頬には、
一筋の涙が伝っていた。


私は痛みが少し薄れてきた時は、
私を心配する大倉の顔が見えた。

彼の涙が私の頬に落ちる....

「........大倉さん」

かすれる声で彼の名前を呼んだ。

「.........」

大倉は言葉に出来ずに涙を流し続けた。

「一緒の吸血鬼になれて....良かった...
これで側にいれるね....」

まだ、身体を走る痛みに耐えながら微笑む私に、
大倉は涙を流しながら微笑み返した。

大倉「こうして話せるのが…夢だった…」

目を閉じて、強く強く抱きしめた。

大倉「彼女の声が重なるようだ…」


大倉は、私を抱きしめたまま、
複雑な表情のまま俯いている丸山に視線を移して

大倉「マル、、先程はすまなかった、
これは、マルがくれた出逢いだ」

そう言って、大倉は深く頭を下げた。

丸山「俺は、何もしてない、
それよりも大倉の大切な人まで
仲間にしてしまった......」

丸山は悲しそうに呟いた。

大倉「いや、俺は何をこだわっていたんだろう、
こうしてやっと大切なモノを手に入れて分かった、
これで良かったと...」

大倉は幸せそうに、彼女を見つめた。

渋谷「俺たちは邪魔みたいやな、横、マル、行こうか」

渋谷は恥ずかしそうに頭をかきながら、
二人を促し部屋から出て行った。
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