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Dye D?

第14章 二人だけの時間


大倉「僕のしたことが、罪だったから....?」

大倉は棺の前でしおしおと涙を流した。
その涙が、彼女の顔に落ちた。

大倉「僕のせいで...
彼女が人間として天に帰る道を閉ざしてしまった...。
僕が、離れたくないと願ったせいで...」

これは大倉の懺悔だ。

彼は、この罪を背負って生きてきたから、
他の人達とは違う雰囲気が漂っていたんだと
思った。

「幸せそうに眠ってるね..。
とても愛されてたんだね...。
そしてあなたを愛してたから、
こんなに幸せそうな顔をしてるんだよね..」

私は感じた事を言葉にしてみた。
彼はそれを静かに聞いていた。

「もし、私が貴方たちの言う神なら、、
彼女に生か死を与えられるのかしら?
貴方の傷を治したように?」

私は彼を救いたかったのだ。
もし、彼の涙を止められるのなら、
自分はどうなってもいいとも考えていた。

大倉「何をするつもりなんだ....」

私の言葉に大倉は震える声をだすと、
一瞬で彼女の前に立ちはだかり、静かに首を振った。

大倉「僕を怖がらずにいてくれた貴女には、
感謝します...」

そう言うと目を閉じて、棺の中の彼女に優しく口づけ、大倉は静かに棺を閉めた。
そしてゆっくりと振り返り言った。

大倉「貴女に酷い事はしないと約束するので、
みんなの所に戻ろう」

「.......ぅん、でも...」

私は、この大倉なら分かってくれるかもしれないと思い、
勇気を出して伝える事にした。

「あのロザリオだけは返して下さい、
とても大事なモノなんです」

私の言葉に彼は少し顔色を変えたが、
悲しそうに首を振った。

大倉「申し訳ないが、あれは我々の命を奪うモノだから、お返しできない。
だけど大事に預かっている...。」

今、私が彼らに逆らう事は出来ない。
だから従うしかなかった。

「分かった....」

小さく頷く私の肩を、大倉は優しく支えた。

大倉「では、行こう...」

私は彼にうながされるように、その部屋を後にした。
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