第2章 プロローグ
夢を見た。
自分が女の格好をして誰かと仲睦まじくしている夢を。
急にこんな夢を見たのは何故だろうか。
俺は女ではないのに。
だが、不思議に思うことがある。
男のはずなのに、12を超えた頃から胸が重くなってきていた。
もちろん、周りの男たちはそんなことはない。
兄に聞いてもお前は男だと言われるばかり。
サラシを巻けと言われて巻き始めると胸は周りと同じように平らになった。
これで周りと同じ。
俺は男だ。
男だ。
男は強くなくてはならない。
あの人が言うんだ。
「お前はいい男になれ」
「女など非力で何もできやしない」
「お前は我々一族を守護する一人になるんだ」と
あの人の言うことは全て正しい。
正しい……はずなんだ。
そうだろ、兄貴…。
なら、どうして俺たちは一族から逃げたの?
兄貴…どこに居るんだよ。