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The Way【黒子のバスケ】

第9章 W・C


しばらくお茶を飲んでいる音だけが聞こえた。
しばらくすると、心結の方から口を開いた。


「ごめんね、いきなり呼び止めちゃって」

「いや、大丈夫だ」

「……明日だね、洛山と。」

「……ああ。緊張しているのは皆同じことだ。オレがしっかりしなければならないのだよ」

「頼もしいね、エース様。」



そう言った緑間の顔はとても険しかった。
コップを握る手にも力がこもる。



「I・Hでは結果を出せなかったからな、尚更なのだよ。」



W・Cが近づくにつれ、緑間と高尾は毎日居残り練習で共に練習していた。


『今までと同じでは、キセキの世代には勝てないのだよ』



そう言って始めた新しい練習。
毎日毎日二人は一生懸命に練習を重ねていた。
その分、明日の試合にどれだけの思いをかけているかが分かる。


「…そういば、お前の家の隣は高尾の家だったな」

「そうだよ。こっちが和成の家。」


そう言って心結は高尾の家の方向を指さした。



「もう和成は寝てると思うから、ここには呼べないけどね!」

「そう、だな」



また、しばらく沈黙が続く。
ここには心結と緑間だけ。
どちらかが口を開かないと、ただ耳鳴りだけが響いて頭が痛くなりそうだ。


それより、今は気になることがある。
なぜ、こんな一軒家で心結が一人で暮らしているのか。親は出掛けているのではないと言っていた。
このことを高尾は知っているのか。

尋ねてみたい気もするが、なんとなく今は言わない方がいい気がする。



「……真ちゃん、大丈夫?」

「あ、あぁ」

「もう遅いし眠いよね!」


しばらく考え黙り込んでしまっていた。
いきなり心結に声を掛けられて少し驚いた。
時計を見ると、既に時刻は11時を過ぎている。


「ごめんね!無理に呼んじゃって」

「大丈夫なのだよ。だがもう遅いし、明日も早いからそろそろ帰る。…ありがとう」

「うんっ。こっちこそありがとね、久しぶりに家に人が来てくれて楽しかった!明日頑張ろうね!」

「楽しみにしているのだよ。じゃあ、おやすみ。」

「うんっおやすみ!また明日ね!」


心結はそう言うと緑間を玄関先まで見送った。





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