第6章 最後の抵抗
『わたしの事……好きなのに犯したんだ』
「性欲に負けた」
『私への思いはそんなものか』
「まあまあ…」
『まあまあ』
「俺は本気でお前が好きだよ……でも、俺…愛情の表現の仕方が分からないんだ」
『いい訳?』
「そうだな…」
今まで何人もの女の子に。本心じゃない言葉をかけて魅了して言った奈津
人の扱いは上手いけど。人を大切にする仕方が分からない。
何とも悲劇。欲望に負けた男が巻き起こした事態
『……奈津の気持ちは分かったよ』
「返事してくんねぇの…?」
『私は奈津に対して幼馴染としか思ったことないから……』
「男として見たことないのかよ」
体を何度も重ねたのに?と付け足しで言う奈津
『そうだね…ないかも……』
本当は美咲も奈津のことが……
でも、言えない。そんな勇気がないから
『私。もう帰る』
「……俺も帰る」
『一緒に帰る気?』
「当たり前じゃん」
『ふーん』
「……ご褒美は?」
『懲りないね…。気が向いたらそれなりの報酬はするよ』
******
『じゃ、明日』
「おう」
ガチャとドアを開けてすぐ締める美咲
どくん。どくん。と、心臓が何時もよりよく聞こえた
奈津に対して幼馴染としか思ったことない。そんなの嘘。
確かに犯された時は嫌だった。好きだけど、奈津にそこまで求めてなくて美咲には刺激が強すぎて混乱したのだ
奈津を突き放したのも心を整理したかったから
奈津に好きと言ってもらえて素直に嬉しくなった
思春期の傾向か。美咲も性的なことに興味を持ち始めた(?)瞬間でもあった。テスト前の出来事