• テキストサイズ

溺れる

第10章 思い出


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

電話の音で目が覚めた。

さっきまで抱き締めていた彼女はもう居ない…

ベットが広く感じられて、寒い…

ほとんど寝てない頭を起こすため、熱いシャワーを浴びる。

身体中に彼女の記憶が残ってる。

はにかんだ笑顔も…
彼女が嫌いだと言う声も…
抱き締めると、嬉しそうに抱き締め返してくれる腕も…
感度が良い身体も…
俺を呼ぶ唇も…





一般の人とは別に用意されたモーニングを食べに下階に下りる。

乗り込んだエレベーターには誰も乗ってなくて…静かに扉が閉まる。

吹き抜けになってるエレベーターホールから下を見るとロビーに集まるお客さん達。

チェックアウトの時間が近付いているのか、荷物を持った人達がいくつもの塊を作っていて、1つに彼女が居た。

友達と楽しそうに話してる。

横尾:「あ、おはよー♪太輔。何見てんの?」

手すりまで近づけないから、見えるギリギリで動けずにいた俺に渉が声をかけてきた。

太輔:「…おはよ。もう帰るみたい…」

横尾:「ん?あ、昨日の…楽しかったね♪」

太輔:「ん…」

横尾:「…どした?泣きそうな顔して…大丈夫?」

太輔:「…」

太輔:「…好きになったらダメな人って居るんだな…」

横尾:「…太輔…」

渉は何も聞かず、そこに居てくれた…
ホテルから出ていく彼女をただ、見つめるだけの俺の傍に…







/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp