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恋人たちの日常 短編 【テニプリ】

第10章 恋人同士の日常 ~芥川 慈郎 編~


さっきから、芝生の上でお昼寝中のジロー先輩。


何度も寝返りをうっては、その度に手を上下に動かしている。丸で、何か探し物でもしているよう。


藤堂『あ、起きた……。』


少し離れた場所で、経緯を見ていた私の存在に気付いた先輩は安堵した顔をしていた。



まだ、半分寝ぼけ眼だけど…。


芥川『そんなところで何をしてるの?傍においでよ。』


屈託ない笑顔を浮かべては、手招きをする先輩。


藤堂『何か探していたんですか?』


芥川『香ちゃんに決まってるでしょ。いつもの感覚がないなぁって思って。ほら、ここに座りなよ。』


私は、大きな溜め息をつく。私は、枕扱いですか。


芥川『どうかしたの~?』


先輩は人気があるから、私が居なくても代わりなんて…。


芥川『香ちゃん?』


いつの間にか、先輩が心配そうな目をして私の顔を覗き込んでいた。


藤堂『先輩は……私が居なくても代わりなんて…。』


芥川『代わりなんて要らない。君だから好きなんだよ?大好きだから、香ちゃん。』


恥ずかしげもなく、私を好きだと主張してくれる先輩。


実は、今も先輩のファンからのヤッカミを聞いてきたんだけど…。


いつも眠そうで楽しいことが大好きで……私なんて、本当に必要なのかな?なんて思ってしまう。






翌日、いつもの場所から先輩の大きな声が聞こえたんだ。先輩らしからぬ怒ったら口調。


私は、その場から動けなかった。



芥川『分かってくれた?俺の言い分。』


?『だって、あんな子っ!!』


芥川『俺の女を、なんか呼ばわりするな!次、何かしたら、俺……【絶対】許さないから。』


低い先輩の声は、彼の本気を伝えるには十分だった。逃げていく数人の足音。


放心状態の私の目の前に、先輩がいつもと変わらぬ笑顔で現れた。


芥川『聞かれちゃったなぁ。でも、今の…俺の本気だから。だから、香ちゃんは笑って欲しい。キミのこと、何があっても守るから。』
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