第5章 恋人同士の日常 ~切原 赤也 編~
ったく、何なんだよ。何で【英語】の勉強なんか…。
その上……文句タラタラの俺に、普段おっとりした俺の彼女が爆発した。
【だったら、大好きなテニス……やれなくなればいいんだよ!私…私はただ……。】
あ~、最後……泣いてたっけ。今更ながら、自分がアイツに甘えてたんだって……。
ただ、アイツは俺に【テニス】を気兼ねなくやれるように自分のテスト勉強時間を割いては教えてくれようとしてたのに…。
あんまりはしゃいだり騒がしいヤツじゃない。でも、楽しそうに俺が汗だくになってテニスをしている所を見てくれている。
そんなアイツのことが好きなのに……。また、フラれるのか?今までの彼女とは長続きしなかったけど、追いかけるつもりも未練もなかった。
でも……香と付き合って、今までとは何か違うって…上手くは言えないけど。
いつだって俺のことばかり考えてて……手助けしてくれて、何度か先輩の制裁を必死になって止めてくれたこともあった。
切原『香……香!!』
気が付いたら無我夢中でアイツを探し回ってた。普段から、先輩らを怖いと言っているのに…アイツはいつだって俺を……。
切原『香!!』
見つけたのに逃げ出されて……。
切原『……んだよ。逃げんな、香!俺の足に叶敵うわけねぇだろ。』
あっという間に捕まえた彼女。
切原『ごめん!!俺、お前に甘えてた。ちゃんとするから。だから、だから……俺の傍にいろよ。』
藤堂『…それ、本心?』
切原『当たり前だろ!俺……香のこと好きだ。俺のこと理解してくれてんのって、お前以上にいねぇと思うから。』
藤堂『…次は……ないんだからね?』
大きな瞳に涙を浮かべたアイツが、眉をハの字にして……。結局、コイツも俺に甘いんだ。
でも、やっぱり笑ってて欲しいと思うから。さ、仕方ないから……香にレクチャーされるとするか。
……本当、ごめんな?いっつも面倒かけて。けど、気が付いたら……俺、香には【未練】あるんだって分かったから。