第2章 最悪運者の目撃
ふわっと、隣に先輩がいるというのに大きなあくびが漏れ出した。
ぱっと大口あけたのを手で隠せば、となりではクスクスと笑う先輩が。
「そりゃ、影山に早くから起こされれば眠いわな。授業中寝た?」
『馬鹿言わないでください、あの単細胞連中と一緒にしないでくださ……っちょ、菅原先輩!』
菅原先輩の言葉につっかかるわたしを、まるで押さえ込むようにぱっと頭に手が置かれて
勢い良く、撫でられた。
「えらいなー、いいなぁ影山」
『ちょ、……え、あの』
なんで影山を羨ましがるんだこの先輩。
なにがいいんだろうか、わたしに世話焼いてんのはあっちなのに。
「そうだ、今日ほかの一年が部活くるらしいから、も来たらいいよ」
『……え』
「午後の授業もがんばれよー」
トントン拍子に、話が進んでいる気がするのは気のせいだと思いたい。
会った時の、爽やかスマイルを浮かべて去っていった菅原先輩を、なんにも言えず、眺めていたけど。
『……先輩達には完全に勘違いされてんのか…』
まだ、入部するなんて一文字も言ってない。