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お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様

第1章 お姉ちゃんと一緒



「敦君、靴新しいね」
「足おっきくなったし」
「そっか、きっともっとおっきくなるよ」
「オレも、なりますよ」
「そうだね、征十郎君」
 この2人の成長をずっと見守っていたいなあ……。
 でも引っ越したら、それも無理なんだろうなあ。
 なんだか泣きそう。
(よし、お父さんに頼んでみよう)
 親戚は、たくさん東京に住んでるし……。せめて、小学校卒業までは。
「大丈夫、手つなぎペアはちゃんと最後までやるから」
「終わったら、行っちゃうの?」
 やだぁ、と敦君が目を潤ませる。
「子供って、非力だから……」
 1人じゃ、学校へも通えない。
 だから、しかたがないんだ。
 あたしたちは重い空気のまま、あたしの家に向かった。
「おお!ただいま」
「お父さん、お帰り、話があるの」
「ああ、俺からもあるよ」
「引っ越すんでしょ?」
「え?」
「大阪に、引っ越すんでしょ? あたし行きたくないっ」
 お父さんは目を丸くした後、なぜか笑った。
「それだがな。大阪に行くのはオレかお母さんどちらかだけ、それも3か月だけの話だ」
「そうなの!?」
「新しい店舗指導のために、あっちで一時的に住まいを探してる。噂になってると聞いたから、心配させただろうなと思ってな」
「よかったし~」
 あたしより先に敦君が泣いた。思わず抱き上げてなだめる。
「まさかこんな急に引っ越さないよ」
「よかった」
「まあ……数年後はわからないけどな」
 含むような笑い。まあ、たしかに。
「手つなぎペアを全うしなさい。」
「うんっ」
「2人と一緒に、試作品を今日も食べていってくれ」
「いいのぉ!?」
 泣いていた敦君が真っ先に食いつく。
「ああ」
「敦、恥ずかしいぞ……」
 征十郎君が笑いをこらえる。
 でもよかった。これで、2人とはずっと手つなぎペアでいられるんだね。
 そう思うと、力が抜けてため息が出た。
 その日の試作品はすごく甘くておいしかった。
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