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大好き☆ハイキュー

第30章 lovesickness 3 (月島 蛍)



月島said


閑静な住宅街に救急車やパトカーのサイレンが鳴り響く。運転手は飲酒をしていて現行犯逮捕となり、桜井は外傷は目立たないものの頭を強く打っていて意識がなくすぐに救急車で搬送された。

佐竹さん達も一応病院に運ばれたものの、幸いかすり傷程度だったが二人とも泣きじゃくり事情聴取にはかなり時間がかかっているらしい。


そして僕はかすり傷もなく、目撃者として事情聴取を受けている。その時スマホが鳴った。桜井の兄、陽介さんからの電話だ。陽介さんは桜井が搬送された病院を知らせてくれた。

それにしても事情聴取というのは何でこんなに時間がかかるんだろう。同じような事を何度も何度も聞かれた。今は一刻も桜井の側に行きたいのに・・・。




ようやく僕が事情聴取から解放され、病院についたのは電話を貰ってから2時間も後の事だった。


受付で桜井の居場所を聞きICUに向かう。桜井の母親は廊下のソファーで泣き崩れ、父親はその肩を抱きしめていた。陽介さんは僕に気付き二人でロビーに行き椅子に座り話し始めた。


陽「頭を強く打っていて、意識不明の重体だ。今夜が峠らしい。蛍が救急車よんでくれたんだろ?ありがとう。救命士の人が若いのに落ち着いて対応していたって褒めてたらしいよ」

陽介さんは淡々と話していたが、全身から悲壮感が漂っている。

僕が救急車を呼んだんだっけ?余りの事態に僕も記憶が混乱しているみたいだ。でも今はっきりとわかっているのは桜井の命が危ないということだけ・・・。
今、僕が彼女にできることが何一つないことがもどかしい。


容体が変れば連絡するから一度帰る様にと陽介さんに言われたが、もし桜井に万が一の事があればと思うと帰る気にもなれず、そのままロビーのソファーに身体を預けた。



いったい何でこんなことになったんだ。一番悪いのは飲酒運転をした運転手だとわかってはいても、あの時手を引っ張ってやれていればとか、佐竹さんと公園に行かなければとか、今考えてもどうしようもないことで頭がいっぱいになっている。

小さな小さな偶然の積み重ね・・・。もう一度今日という日をやり直せたなら桜井は僕の横で笑っていたんだろうかなんて僕らしくないよね、ホント。

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