第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
しばらく歩いているとカサカサと背の低い植込みの陰から小さな音が聞こえた。
植込みの中をそっと覗くと彼女の姿を捉えた。それも四つん這いになってそっと公園の出口に向かっている姿を・・・。
これだから天然は・・・スカートの長さを考えてる?ってくらいスカートの中が見えそうなギリギリの状態で、彼女の白いキレイな脚が見えている。
健全な男子高校生なら誰でも欲情すること間違いない。僕は気配を消し彼女の後側にそっと迫ったがマズイ、直視できない///
月「桜井」
僕が彼女の襟首を掴むと、いきなりの事に彼女はまるで仔猫のように怯えこちらを向いた。
貴「えっと、あのぅ、その・・・」
月「僕を出し抜こうなんて百年早いってこと。それよりその恰好、僕の事誘ってんの?襲われても知らないよ」
彼女はようやく気付いた様でその場で顔を真っ赤にさせて、慌てて立ち上がりスカートのすそを下に引っ張った。
月「何、そんなに聞かれたくないことだったの?」
貴「今日は・・・言えない」
彼女は口をへの字口にまげて斜め下を見て呟く。一見素直で聞けば答えてくれそうな性格に見えるけど、一度決めたら絶対に自分を曲げない頑固なところもある。
この場合は後者でこれ以上聞いても話してくれないだろう。
月「・・・はぁ、わかった。もうこの事は聞かないけど、もうちょっと自分を大事にしてよね」
僕は思わずため息をつきながら手のひらで彼女の頬を撫でる。
あ、やってしまったと思った時には遅く、彼女の顔は更に真っ赤になり無言のまま頷いた。
まんざらでもないのか、または男に免疫がないからなのか・・・。
1か月前彼女は失恋した。表面上は元気にしているが、その傷が癒えているかは本人にしかわからない。
実際僕もどこまで踏み込んでいいのか躊躇し、考えあぐねていた。