第23章 恋の有効期限(及川 徹)
貴「・・・違う、そうじゃないの。ずっと一緒に居たかったから、知らないフリするしかなかったんじゃない」
涙がぽろぽろとこぼれる。私は自分が思っていた以上に彼を傷つけていた事実を突きつけられたと同時に、想いを止めることが出来なくなっていた。
貴「徹はモテるもん。徹が私の事好きって言ってくれても周りがほおっておかないから、私はそれに疲れちゃうんだ。そのうち徹の言葉も信じれなくなって、笑えなくなる」
貴「徹とはずっとバカ言ったり、ふざけたりして、ずっと笑って側に居たかったのよ。だから、い・・・言えなかった。あの時、好きだって」
及「その言葉まだ有効?」
いつの間にか徹との距離が鼻先が触れ合うくらい近づいている。
貴「・・・今でもy
徹は答えを聞く前に私の唇をふさいだ。互いの気持ちを伝えきれなかった長い時間を埋めるように。
ようやく離れた徹に抱きつこうとしたとき、私にまだ手錠がかけられていることに気付き、それを見た徹は黙ってカギを外してくれた。
私は徹に抱きつき、子供みたいにワンワン泣いた。
貴「・・・傷つけて、ごめん、ごめんねぇ・・・」
徹は私の事を強く抱きしめてくれた。
及「つばさ、もう泣かなくていいんだよ・・・。それより、ちゃんと俺に教えてよ?」
貴「・・・徹のことが好きだよ」
及「うん。俺も今までも、これからもずっと好きだから。つばさのことちゃんと守るよ」
どちらからともなく、互いを求める様なキスをする。
胸のつかえが溶けていく。私もっと早くに気持ちを伝えていればよかったね。
及「やっぱり、つばさが一番好きだよ」
貴「・・・そんなこと言っていいの?他の女の子にデレデレしてたら、ワガママ聞いてもらうから覚悟しといてね」
及「えぇ、俺信用されてないの?!」
貴「だって、徹の女性遍歴、全部知ってるもん・・・」
及「フラフラしちゃったのはつばさのせいなんだよ?それでもだめなの?」
貴「そんなの知らないよ~だ」
いつもの幼なじみモードに戻った私達だったけど、徹とのキスは甘くて切なくて私の頑なな想いを溶かしてくれた。そして私は彼とキスをする度にその事を思い出し”一生彼の側に居たい”って願うんだ。
END
→あとがき