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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第7章 【国見英】睡眠ガール


窓から入ってくる日光は丁度いい温度で。まだ一時間目だと言うのに睡魔が襲ってくる。寝まいと授業に集中すれば、静かな教室に響びくチョーク音、シャーペンを走らせる音などが耳に入る。国見は重たい目を擦りながら斜め前の席を見つめていた。         
「ね、むい」

斜め前の席のはそう呟きながら頭をコクリ、コクリと上下させている。いつもは真面目な彼女がここまで寝そうになるなんて。無理でもしたのだろうか?眠いならいっそ、寝てしまえば良いのに。


居眠りなんて基本はやってはいけない事だが先生なんて実際はそこ迄生徒の事を見ていない。
俺はいつも3時間目からフルで寝てるのにバレた事が一度も無いから改めて凄いと思う。だから、寝ろって、寝たってバレないから。と言ってやりたい。


しかし言ったとしてもは聞き入れてくれないだろう。でもそこが彼女の良い所だ。
何にでも真面目。努力を惜しまない。誰に対しても平等で、仲間を大切にする。俺はそんな彼女を尊敬する。真似しようなんて考えは微塵もないけど。



さっきからチラチラ視界に入るうたた寝している。気になって気になって仕方ない。いい迷惑だ。まともに黒板が見えないし、授業に集中できない。嫌気がさし彼女の肩をトントンっと叩いた。少し力が入ってしまったが眠気覚ましにはいいだろう。
そんなことを考えているとゆっくりと振り向く彼女。今にでも閉じてしまいそうな目が俺を捉える。



「あのさ、」
「何?」
「眠いならな寝れば?……どうせ先生見てないし」
「いや、ダメだよ。折角先生が教えてくれてるのにそれは失礼だよ」
「それは、分かるけどさ。うたた寝するのやめてくんない?黒板がよく見えない」
「あ……ゴメン。気をつけるね」



そう言ってまた黒板に視線を戻す
。姿勢はさっきと大違いで背筋をしっかり伸ばしている。さっきまで見えなかった文字もはっきり目に映る。
ほらやっぱり、思った通りだ。返事から行動すべてが優等生。こんな生き方してたらいつか絶対に体壊すぞ。
まぁ、俺には関係ないことだけど。黒板しっかり見えるし。これでまともに授業が受けられる。

まぁ、授業受ける気なんてさらさらないけど。只、話す口実が欲しかっただけ。話せたから満足だけど、別に顔とか見なくたってよかったんだからな。
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