第18章 オマケページちえ篇 秘かに
今まで恋なんて興味がなかった。
でも、高校に入って初めての学祭。ステージで踊る剛先輩は輝いていて、一気に目を奪われた。
それが私の初恋だった。
その後すぐ剛先輩はももこ先輩のクラスメイトだと知って、ももこ先輩に色々話を聞いた。
遅刻は当たり前。授業中にはいつも居眠り。いい加減な人、最初はそう思った。
でも話を聞いてくうちに優しい人だということも知った。
そして、剛先輩が好きなのはももこ先輩だということにも気づいてしまった。鈍感なももこ先輩のせいで。
それから私は秘かに剛先輩を見つめていた。
先輩から見たらきっと私は大勢いるファンの一人にすぎない。
それでもよかった。
時々こっそり剛先輩の靴箱や部室のロッカーに手紙を入れておいた。名前は書いたことはない。
読まずに捨てられているかもしれない。
それでもよかった。
イヤな噂も沢山聞いた。
誰彼構わず手を出してはすぐ捨てるとか。
でも私はももこ先輩の話だけを信じた。
そして何よりも、自分を信じてあげたかったから。
ただの一目惚れだったとしても、自分が好きになった人はステキな人だって、信じたかったから。