第7章 「なお あなたに逢いたい」
翔の部屋に戻って。
二人で布団に包まる。
脚に脛毛が当たってチクチクする感触も。
ちょっと自分本位な攻め方も。
髪を掻きしだく指も。
かすれて響く低い声も。
懐かしくって、切なくって、愛しくって、また泣きそうになった。
でも、あんまり泣いたら本当に怪しんで心配するだろうから、我慢した。
翔の腕の中で、翔の寝息を聴きながら、夜が明けていくのをずっと眺めてた。
引き潮が引いていくように、夜が少しずつ遠ざかり始める。
濃い暗闇はちょっとずつちょっとずつ、新しい1日が混じり始める。
翔の両腕は私を抱え込んでいるのに、だんだんと温もりが薄くなり始めた。
(戻るんだな。)
そう、分かった。