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渡り廊下で恋をした

第8章 ねぇ遠藤くん


「ねぇ遠藤くん」

……。

応答なし。

遠藤くんはじっと空を見てる。

今夜は比較的早い時間に流星群が見られるから、夜、流星群を口実に出てきた。

…つもりだったんだけど、遠藤くんはガチで流星群を見に来たんだね。

「あ! 見た? 今、流れましたよ! あの辺、あっち!」

遠藤くんが空を指差してはしゃぐ。

「え? あぁ…見逃した」

「ダメじゃないですか、ちゃんと見てないと。あっちですよ、ね?」

遠藤くんは私の頭を後ろから支えて、その方向に向かせる。

……。

暗くて…人あんまりいなくて…こんなにくっついてて…
私は遠藤くんの彼女で…遠藤くんは私の彼氏で…

星だけ見てる。

「あっ!」

私は空中を指差し、声をあげる。

「えっ? 流れた?」

遠藤くんは私が指差した方向に顔を寄せる。

よし、引っかかった。

私は彼の唇にキスする。

……。

「え…星…じゃない…んですか…?」

唇を離すと、彼がつぶやく。

「だって遠藤くん、名前呼んでもこっち向いてくれないんだもん」

「呼びました?」

「呼びましたよぉ」

「キスしていいなら言ってくれたらよかったのに。ずっとチャンスをうかがってたんです」

「そんなふうに全然見えなかったけど?」

私は笑う。

「あの…もう一回いいですか? ちゃんと味わえなかったので」

遠藤くんがおそるおそる問いかける。

「味わうの? なんか気持ち悪…」

「比喩です!」

遠藤くんが私に顔を近付ける。

「あっ!」

私は声をあげる。

「ふふ、もうだまされないですよ」

再び、彼の唇と私の唇が触れる。

目を閉じる前、彼の頭越しに星が流れるのが見えた。


fin

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