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渡り廊下で恋をした

第4章 渡り廊下で恋をした


昼休み、僕はいつも化学室で昼食をとる。

ここは僕の所属する化学研究部の部室でもある。

なので、化学研究部の部員が昼になるとなんとなく集まる。

といっても、化学研究部の部員は3年が3人、2年の僕が1人。合計4人しかいない。

「文化祭が終わったら、とうとう引退かぁ」

先輩たちが感慨深そうに話す。

僕は先輩の読み終わった漫画雑誌を読む。

「横山、おまえ文化祭で頑張って勧誘しろよ。俺らもやるけどさぁ。おまえが頑張らないとしょうがないんだからな」

先輩が僕に声をかける。

「まぁ頑張りますけど…。僕のコミュ能力ではどうにも」

僕は素直な気持ちを答える。

化学研究部は3年の先輩が引退すると、部員数の不足で廃部になってしまうのだ。

仕方ない、と僕は思う。

こんな2学期の途中に化学研究部なんて部活に入るヤツはそうそういないだろう。

僕の居場所がひとつなくなる。

ただそれだけのことだ。

「お先です」

そろそろ予鈴が鳴る時間。

先輩達に挨拶し、僕は席を立つ。

ゆっくりと扉を開け、ゆっくりと廊下を歩く。

特別教室の集まっているこの校舎から、普通教室のある校舎へと繋ぐ渡り廊下。

そこには明るい太陽の光が、これでもかって降り注ぐ。

なんとなく暗くて、湿った匂いのする化学室とは大違い。


そんな場所で、僕は君に出会った。

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