第2章 大好きなクッキー
「このクッキー、ゆうちゃん好きでしょ」
私が子供の頃から大好きなクッキーの箱を持って、直樹が戻ってくる。
「わぁ、大好き」
「一緒に食べよ」
クッキーの箱を開けながら、直樹がニッコリ笑う。
「直樹もこれ好きなの?」
「うん、好き」
「そっかぁ」
嬉しいな、なんか。
「はい、あーん」
「えっ」
直樹がクッキーをつまんで、私の口もとに持ってくる。
私は多分、顔が赤くなる。
「なんちゃって。ふふ、びっくりした?」
直樹が自分でパクッとそのクッキーを食べてニコニコする。
……。
私、どうしよう…。私、なんかドキドキしちゃって…
「えと…えっと……。私、だめ…。食べれない…」
「えっ? あ…ごめんね、意地悪しちゃって…。はい、あげるよ」
直樹がクッキーの箱を私に差し出す。
「違うの…緊張しちゃって…」
私はなんとか言う。
「どうして? 大丈夫だよ。変なことしないよ」
直樹が言い訳みたいに言う。
「うん…。でも…好きな人といると思うだけでドキドキしちゃって…」
恥ずかしいけど、私は打ち明ける。
でもやっぱり恥ずかしすぎ…。
直樹が私の顔を見て、優しく微笑む。
「じゃあ…慣れるまでくっついてようか」
そう言って、私を正面からそっと抱く。
そんな…
余計、恥ずかしいよ…
……。
でも、これだと顔見られないから気楽かな…
直樹の身体あったかい…
私は直樹の肩にコテッと頭をのせる。