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Hallowe’en party

第5章 教師との会話


*夜神side*


ハロウィンまで残り3日となった、水曜日の午後。


「なあ、夜神。大人ってのも苦労してんだよ」
「はぁ……」


近所のR公園。
学校帰りの小学生や、親子連れがいる中、男2人でベンチに腰掛けているのは、ある意味異様だろう。
隣に座って缶コーヒーのプルタブを指で引きあげながら、鈴木先生は、ハァ、とため息をついた。


「いいよなぁ……今時の高校生って。俺らのころは、普通に拳が飛んできたからよ。まあ、心身ともに鍛えられたのかもしんねぇけどな。最近の高校生は少し軟弱じゃないのか? どう思う、夜神。わかるか?」
「先生が一体何を言いたいのかさっぱりわからないし、なんで俺に答えを求めるんですか」


学校帰り、先生に、半ば無理矢理に公園へ連れていかれたら、この話ばっかりだ。というか、仕事はどうしたんだ。教師だろう?


「いやぁ……お前は学年で1、2を争うほどの成績だし、スポーツもできるじゃんか。だから、答えてくれるかと……」
「先生の問いに対する答えと、成績の良さは関係ないと思いますけどね」
「つまんねぇ奴だな」
「あなたは教師としての自覚をもっと持って下さい」


どこか噛みあっていない会話をしながら、佐々野のことを思い出す。
親と自分の考えの違いに悩んでいる友人。
電話ではああ言った。自分の事は自分で決めろと、口で言うのは簡単だ。
けれど、実行する大変さは、当人にしかわからない。
第三者の俺や周りの人間が、ああしろこうしろと言っても、どうしようもないし、無責任だ。
佐々野の悩みや葛藤を知っているかのように言うのは、佐々野にとって苦痛でしかない。


「――今の時期はしっかり悩めよ? むしろ悩んでいない奴の方が心配だ。まあ、悩みすぎて切羽詰まんのも困るけどよ」


考え事をしながらも、先生の話は続いていた。
この人は隣にいてくれるんだったら、誰でもいいんだろうな。まったく……こっちのことも考えてくれ。


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