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【黒子のバスケ】甘い秘事【裏*R18】

第12章 *思い出の海【花宮 真】*


花宮side



肌を掠める冬独特の鋭い風。
この時期になると……オレは必ずある場所に赴く。

いつどんな時でも、そこは穏やかにオレを出迎えてくれる。
静かな波音と共に。



「……」



別に入りたいわけじゃない。
このクソ寒い中、泳ぎたいと言う奴がどこにいる。

オレは逢いに来たんだ。
海が大好きだったあいつに。

オレが……唯一愛した女に……。



「ふはっ、相変わらず大人しいなお前は」



こう話すオレの側には誰もいない。
あるのはどこまでも広がる海だけ。

当然声が返ってくるわけでもなく、波音と共に消えていく。

でもオレは柄にもなく届いてると信じて……その女に向かって語り掛ける。



「あれからもう何年も経ったな。お前はいつまでオレを縛り付ける気だ?」



オレを本気にさせておいて消えてしまった女は、今でも心の中で微笑みかけてくる。

「ま、真くん」って、名前を呼ぶだけで照れながら。


……こんな事になるなら、もっと優しくしてやればよかったと思う。
オレはいつも……あいつに対して色々と乱暴だった。



最後に抱いた時の事はよく覚えてる。
大学2年の頃だ。

あいつを泣かせてしまうほど……オレは激しくシてしまった。

……ムカついたんだ、あいつが周りにチヤホヤされてるのを見て。
自分の側から居なくなりそうで怖かったのかもしれないが。



「って……マジで居なくなるとはな、……」

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