第9章 トクベツ授業
ここ数日お世話になっている、学校近くのファストフード店。見渡す限り、ほとんどが私の通う学校の制服のよう。
「どうしよう、あと5日しかない・・・」
来週の月曜日に控えた期末テスト。クラスで仲良しの友達と一緒に勉強中。
「でも、今回の期末テスト終えたら後は自由だよ!」
「だよね!テスト終わったら、皆でどっか行こうよ!」
「いいねいいねー!」
その内の大半がお喋り。ま、女の子ってそういうもんだよね。全く余裕がないはずの私も、つい雑談に花が咲いてしまう。
『一緒に勉強する?』
「え・・・」
『俺に教えられることだったら教えるよ』
友達と別れて帰宅途中、どうしても自力じゃ出来ないと思い功平に電話を掛けた。彼も期末テストに向けて勉強中であり迷惑なのは分かっていたが、私より遥かに頭のいい彼に聞けば何でも解決出来そうな気がして。
テスト勉強のことが不安だと言った私に返ってきたのが、まさかの先ほどの応え。
「・・・いいの?」
『うん』
「でも、」
『どうせお前のことだから、迷惑じゃないかとか気にしてるんだろうけど、余計な気回さなくていいから』
自分が言うより先に言い当てられてしまった。何だか笑えてきちゃって、私はそれ以上考えるのをやめた。
「ありがとう。宜しくお願いします!」
『ん。じゃあ明日の放課後な』
面倒見のいい功平に甘えてばかり。嬉しい反面、やっぱり申し訳ない。とは思いつつも・・・今回も力を貸して貰うしかないのだ。
だって私、勉強が大の苦手なんです。
「どうする?店入るか、俺ん家か」
翌日の放課後、やっぱり私の学校の近くまで迎えに来てくれた功平と肩を並べて歩く。
「んー・・・今日はお店にしよ?」
「もしかして気遣・・・」
「ち、違うよ!前に功平くんが連れて行ってくれたカフェ、久しぶりに行きたいなーって!」
まさか気を遣ってるんじゃないかと、ジトーっと私を見つめる功平。そんな彼へ誤解を解きながら、私達は面接練習の時に訪れたカフェに向かった。
紳士な彼は、前回同様に私を先に座らせ、自分のに加えて私の飲み物まで持って来てくれる。
「よし、早速始めるか」
ありがとう、と私が言った次の瞬間にこの言葉。何だか懐かしいこの感覚。どうして忘れていたんだろう。
彼が・・・超弩級のスパルタだったことを。