第23章 23日目
「すみ、ひさくん・・・?」
「言っとくけど、本気よ。」
「え!?あ、はい!?」
「うっわ、なにその反応。普通に傷つくわ。」
「あ、いや、ごめっって、違うくて、」
「いや、焦りすぎ。」
住久くんが声を出して笑う。
「わ、笑わないでよ・・・!驚かずにはいられませんよ!」
「うん、大いに驚け。今までの仕返しだ。」
「仕返し!?私何かした!?」
「いや、俺が勝手にいじけてた。」
「は、はあ。」
「でもまあ、今はいらない。」
「は!?」
「今のはいらない。」
「え!?」
「俺が欲しいのは二宮さんより俺のことが好きなだから。」
そう言って優しく微笑んでくれる。
住久くんは頼れるお兄さん的存在の同期で、ドキドキすることなんて一度もなかったのに。こんなこと言われたら、意識するに決まってる。
さっきまで二宮くんのことで頭が一杯だったのに、私最低だ。
「ねえ、一つ言っていい?」
「・・・は、はい。」
住久くんが頬杖ついて、真面目な顔でこっちを見つめてくるから、また緊張した。
なんでそんなに落ち着いておられるのですか、住久くん。私だけアタフタして馬鹿みたいじゃないですか。
「そんな反応されると期待する。」
「え!?は、反応!?」
「顔、赤い。」
住久くんが嬉しそうに笑う姿がまた二宮くんと重なった。
『赤くならないでよ、』
初めて会ったのに私をと呼ぶ二宮くん。
『今、絶対顔赤いよね』
私を後ろから抱きしめてくれる二宮くん。
『あっは、反応よ。あなたいつになったらその 赤面症なおるの。早く慣れなさいよ。』
優しく笑って私をバカにする二宮くん。
全部、全部大好きで。
毎日が本当に幸せで。
二宮くん、
またバカって言って笑ってはくれませんか。
顔赤いって優しく触れてはくれませんか。
もう戻ってきてはくれませんか。