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〜蒼い青い片想い〜

第11章 -遅れてきた青色の彼-


”わぁぁぁぁぁっ…‼︎”


大ちゃんがコートに来たのだろう。


大きな歓声の中に、
青峰ーっ‼︎
待ってたぞーー‼︎
そういう声援も聞こえた。


ちょっと複雑な気持ちと、
誇らしい気持ちが
わたしの心の中に入り混じっていた。



バンッ…


わたしは全速力で走り、
観客席に続くドアを開けた。




バチッ!




火神さんが大ちゃんのダンクを
止めた瞬間だった。


わたしはドアの前から動けなかった。


誠凛の速攻…


でも、わたしは、
ボールを持つ誠凛ではなく、
大ちゃんを目で追っていた。



バチィッ…



黒子さんからのすごいパスが、
火神さんに通った。


誠凛ベンチから、
大きな声援が聞こえてくる。


「火神しか取れない…
イグナイトパス‼︎」


「いけ火神ーー!」


火神さんはそのまま、
リングに向かって飛び上がっていた。


きっと…
体育館にいるわたし以外の人たちは、
火神さんのダンクが決まる…
そう思ったと思う。


でも、このダンクは決まらない…


わたしはそう確信していた。



ガドッ…‼︎



ほら…ね。


大ちゃんはバランスを崩して、
火神さんより後ろにいたけど、
そんなこと関係ない。


大ちゃんはあっという間に
火神さんに追いつき、
火神さんのダンクを止めた。


ビーーッ


”第2Q終了です”


”…うお…おぉお‼︎”


ものすごい歓声が湧き上がっているが、
わたしは腑に落ちなかった。


大ちゃん…遅過ぎる…


「ありゃ?終わり?あー?
アップがてらサクッと1本
決めるつもりだったのに…
チッ…なんだよそれ…ったく…」


コートの中で、子どものように
拗ねている大ちゃんが見えた。


「いいじゃねーか、おい!
10点差つけられて
どんだけヒドイかと思えば
なかなかマシじゃねーの?」


大ちゃんは少し気だるそうで、
でも、どこか楽しそうだったけど、
先輩らしき人に何か言われながら、
控え室に戻っていった。






『試合…勝ったら…
つぅか、勝つに決まってんだけど…
すみれ…おまえからキスしろよ?』







さっきの大ちゃんのことばが
頭から離れない。


大ちゃん…なんで…?



わたしは大ちゃんのいないコートを
ジッと見つめて、
出るはずのない答えを求めた。


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