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〜蒼い青い片想い〜

第10章 -虹色の先輩-


「あぁ。いいんじゃないか?」


高尾さんのことばに
大坪さんと呼ばれた人は、
静かに頷いてくれた。


「あ…ありがとうございます。」


「あの人がウチの主将な。」


よく考えたら知らない人ばかりで、
つい緊張してしまったわたしに
虹村先輩がそっと教えてくれた。


やっぱり虹村先輩は優しい。


大ちゃんもだけど、
きっと目つきで損してる…。


「ちなみにさっきの
物騒な発言してた人らも3年な。」


「え⁈」


…てコトは、虹村先輩より年上⁈


「…おまえ、今、
失礼なコト考えてたろ?」


「…⁈か…考えてませんっ‼︎」


虹村先輩の鋭いことばに、
わたしは昔のように慌ててしまう。


なんだか懐かしいな…。


「虹村さーん?すみれちゃん‼︎
こっちこっちー‼︎」


会場の中に入ると、
高尾さんがすぐに
観やすい席を確保してくれた。


虹村先輩の隣に座ると、
歩いてきた流れで、
反対側の隣の席は
あの物騒なイケメンさんになった。


「そぉいや、おまえ、名前なんつーの?」


突然イケメンさんに話しかけられ、
わたしはポカンとしてイケメンさんを
見つめてしまった。


「え…?あ…桃井…すみれです。
あの…」


「ん?あぁ、オレ?宮地清志な。
一応こいつの先輩な。」


秀徳のきーちゃん…
もといイケメンさん…
あ、宮地さんが
わたしの後ろから手を伸ばし、
虹村先輩の肩をポンとしながら言う。


それだけだけど、
まるで宮地さんに
抱き締められたかのように
宮地さんの匂いが鼻腔をかすめ、
思わずドキッとしてしまった。



「ん?つぅか、桃井…?
って、おまえ、もしかし…」




「おお‼︎出てきた‼︎誠凛と桐皇学園‼︎」



周囲がざわつき、
宮地さんの声をかき消した。


わたしはすぐに大ちゃんを探したけど…




あれ…?




「青峰…いないな。」


虹村先輩も気付いたようで、
不思議そうにフロアを見ていた。


「はい…お姉ちゃんも…」


ブーッ…ブーッ…


ブレザーのポケットが揺れた。


スマホを見ると、
着信はお姉ちゃんからだった。


『もしもし⁈』


わたしは小声で電話に出た。


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