第10章 -虹色の先輩-
桐皇vs誠凛の試合当日…
学校でもソワソワしてしまい、
試合に出るわけでもないのに、
わたしが落ち着かなかった。
学校が終わったら、本当は塾だけど、
ママにもちゃんと許可を取って、
今日だけは塾はサボり。
授業が終わってから、制服のまま、
わたしは試合会場へ向かった。
すごい人…
こんな大勢の前で…
大ちゃんは試合をするんだ…
決勝リーグだからか、
会場の外は思ったより人がいて、
わたしは思わずその場で
立ち尽くしてしまった。
「おーおー!
さすがに決勝リーグともなると
人の数が違いますなー。」
「高尾!チョロチョロするな!」
「へーい。」
…⁇タカオ…⁇
聞き覚えのある声と名前に、
固まっていたわたしは我にかえり、
思わずその声のするほうを振り向いた。
「あれ⁈すみれちゃん?」
やっぱり…‼︎
…っ⁈……って…えっ⁈ウソ…⁈
「虹村先輩⁈」
「よう。久しぶりだな。」
高尾さんがいたコトよりも、
わたしの大好きな尊敬する先輩…
虹村先輩が高尾さんといたコトに
わたしは心底驚いてしまった。
「ど…して…⁈
いつ帰ってきたんですか⁈
なんで連絡くれなかったんですか⁈」
「ははっ…わりぃわりぃ。
スマホ変えたら、
連絡先全部飛んじまってよ。
中途半端だけど、
今月から秀徳に編入したんだ。」
わたしはビックリしすぎて、
次から次へと質問が出てくるのに、
虹村先輩は相変わらず落ち着いていて、
わたしの質問に淡々とこたえてくれた。
「緑間先輩に連絡先聞いてくれれば
いいじゃないですか‼︎ひどいっ‼︎」
「だから、悪かったって。
こないだ緑間から聞いてたし、
今日会えんじゃねーかなと
思ってたからな。」
虹村先輩はわたしの頭を
ポンポンとして、
スネたわたしをなだめた。
「つぅか、すみれちゃん、
オレに連絡くんなかったじゃーん!」
わたしがまだ虹村先輩に
詰め寄ろうとすると、
高尾さんが割って入ってきた。
「あ…ごめんなさい…。
あのメモ、大ちゃんが破っ…」
「あん⁈高尾〜⁈どういうコトだよ?」
「やべっ…」
…虹村先輩の青筋が…スゴい。
キレたら怖い虹村先輩も健在だった。
「つぅか、虹村、彼女いたのかよ?」
「は⁈いや…こいつは…」