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嵐さんのプロポーズ

第4章 黄色い四男の場合「映画」











よかった、すごくよかった!







彼の新しい映画は
アクションかつ恋愛要素もあって。



と言っても


上映と同時に映画館に駆け込んだ私。

この作品を見るのは2回目だけれど
それでも彼の演技に感動した。




家でDVDを見終わって
その余韻に浸っていると

隣に座る彼はあぐらをかき
小さな機械にかじりつくようにして
背中を丸める。



私の視線に気付くと、
ゲーム機から目を離して

終わりました?と私に聞いた。





「…あ、お、終わりましたけど」





見てなかったんですか?

私、今の今まで
一緒に見てると思ってたんですけど。






「…んなの、当たり前じゃん
 見ないよ自分のなんて」





言葉にしてないのに、
私の表情で言いたいことはわかったみたいで。






「つうか、なんで泣いてんの」






そう言ってハンバーグみたいな可愛い手で
私の目尻に残ったそれを拭う。






「…や、感動して」

「どこで」

「あの、手、繋ぐところが」






彼の演じる主人公と
相手役の女優さんがそっと手を繋ぎ
ただ公園を歩くシーン。






「へえ、レア。あなたってやっぱレア」






興味なさそうにまた視線は機械へ向けられる 。






レアレアレアレアって、
こっちは生肉じゃないっつーの。

ぶすっ、と膨れる私に、ねえ、と。





「よく見れんね。
 彼氏が他の女と手なんか繋ぐとこ」





なんて無神経な人なんだ、
気にしているに決まってるじゃないか。





「…ぜんぶ、自分に置き換えてるから大丈夫」





そう、
だからさっきの手を繋ぐシーンで
涙が出たのは、きっとそのせい。


私達はあんな人前で手なんか繋げない。

なんて本人に言えるわけもなく。







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