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【★ハイキュー!!★】短編集

第99章 【東峰 旭】U&I


「ひろかさん。さっきの、それがダメだったってどういう事ですか?」

少し歩いた所で俺は勇気を振り絞って、さっきの話の続きを聞いた。
ひろかさんは少し黙った後にゆっくり口を開いた。

「私の後輩の女の子にね、ずっと恋愛相談されてたの。で、最近彼と関係を持ったっていうから相手の名前を聞いたら・・」

「まさか・・」

「そう、そのまさか。彼女が言う男性って言うのが彼だったってわけ」

ひどいでしょ?と笑って見せるひろかさんに俺は何も気の利いた事を言えなかった。

「しかも。彼は、彼女いるんですか?って質問には、そういう相手が居たら君とこんなに残業出来ないと思わない?とか、好きな人は職場が一緒で最近一緒に仕事してる子。とか、そういう曖昧で思わせぶりな事を言っていたみたいなの」

ひろかさんは、あぁ~あ。と夜空を見上げながら大きくため息をついて、その場に立ち止った。

「彼にこの事を問いただしたら、勝手に向こうが俺を好きになってしつこくされたから仕方がなく・・だって。私が彼女と同じことされたら勘違いしちゃうよ。あの人優しいから・・そういう所あるんだよね。後輩の子だって何も悪くない。だって私達が付き合ってること知らなかったんだもん。私が彼女として至らなかったのかもしないな・・」

昨日、俺に「思わせぶりな事するの嫌いなの」と言ったひろかさんの目から強い意志とどこか悲しさが溢れていた理由が分かった気がした。
ふと先を歩くひろかさんの背中を見ると少し震えている。

「この人と結婚するんだろうなって思ってたのにな・・」

そう小さくつぶやいたひろかさんはズッと鼻をすすって後ろを振り返った。

「もうここで大丈夫!ありがとね、旭くん!おやすみなさい」

最後に笑って手を振るひろかさんが小さくなっていくのを俺はただただ見つめる事しか出来なかった。


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