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【★ハイキュー!!★】短編集

第99章 【東峰 旭】U&I


その日は部活が早く終わって、俺は1人で行きつけの靴屋に来ていた。

「すいません。これ、お願いします」

お目当ての靴を手に入れてご機嫌でバス停に向かう。
早く新しい靴を履きたくてワクワクする気持ちを抑えながら。

しばらくするとバスが到着し、すぐに乗り込んだ。
車内は少し混雑していて、降りる駅がしばらく後の方なので後方の手すりに掴まった。

あーあー、と子供が母親に甘えているのを見てほっこりする。
楽しそうに話をする学生や、仕事で疲れているのか窓に寄りかかって眠っているサラリーマン。いつもと同じ風景。だったのに・・。

ビィーー

停留所についてバスの扉が開く。
カツカツとヒールの音を鳴らせながら車内に入って来た一人の女性。
タイトめのパンツスーツ姿で軽く巻かれた髪の毛をネイビー色のリボンでまとめていた。
俺の1歩手前のつり革に掴まり、バスが発車したと同時にカバンから資料のような物を取り出した。
真剣にその資料に目を通す横顔がとても凛としていて思わず見惚れてしまう。

「あっ、ぶないっ!!」

バスが急ブレーキをかけて、立っていた乗客達が一斉にバランスを崩した。
ちょうど資料をめくる為につり革に掴まっていた手を離していた彼女は俺の方へ倒れ込んできた。
反射的に出した右手が彼女を支え何とか転ばずに済み、彼女はビックリした表情を見せた後に少し恥ずかしそうにスイマセンと謝った。
さっきまでの凛としていた表情とは違って、ふわっとした表情がとても可愛らしかった。

その後、バスの混雑でなかなか下車出来なかった彼女を助けるため、自分が降りる予定のバス停ではなかったが彼女と一緒に下車した。彼女はそのお礼としてお茶をご馳走すると言ってくれた。



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