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【★ハイキュー!!★】短編集

第97章 【京谷 賢太郎】それはきっと空のせい


あれから数日が経って、俺はいつものように屋上で寝ながら朝の空を見ていた。

「・・京谷?」

「・・おう」

声が聞こえて目線を向けると俺の頭上に佐藤が立っていて、目が赤く腫れあがっていた

「ねぇ、京谷?少しここにいてもいい?」

「ぁん?ダメだって言ってもいる気だろーが」

「ふふ。そうなんだけどね」

そう言って佐藤は俺の横に座って、腫れた目を隠すように顔を伏せた。
特に会話をしているわけではない。だけど、隣で黙って座っている佐藤の傍を離れる気にはなれなくて、俺は朝ごはんに買ったハミチキを食べ終えてもその場に残った。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴っても佐藤は腰を上げなかった。

「・・戻らねーのか?」

俺は一度身体を起こして佐藤に声をかけた。しばらく沈黙が続いたが、大きく息を吸った後に佐藤が口を開いた。

「私には・・居場所がないから・・」

居場所がない?佐藤に居場所がない?
正直、こいつは誰とでも仲よくてクラスの人気者だ。そんなやつの居場所がない?俺には到底理解出来なかった。

「矢巾とね、親友の子が付き合うことになったんだ」

グスンと鳴き声が聞こえてきた。
佐藤が泣いている。また前みたいに喉の奥が苦しくなる。
いつもヘラヘラして笑っている奴が、こんなに苦しそうに泣いている。こんな風になるくらい矢巾の存在がこいつの中で大きいのか?
そう思うとムカムカするような、今までに感じたことがない感情が湧いてきた。

「・・だから私邪魔者なんだ。大好きな二人が付き合うなんて本当は嬉しい事なのに、大好きな二人を同時に取られちゃったみたいで苦しい。私って本当最低・・」

「最低だな、お前・・。逆の立場だったら、お前もあいつ等を邪魔だって思うってことだろ?」

俺はむしゃくしゃした気持ちを抱えたまま、佐藤の元を去った。

あいつは、俺がうざったいと思っていてもズカズカ俺の中に入ってきて、いつの間にか当たり前のように俺の横にいるようになった。
俺が邪魔扱いしたって構わず一緒にいただろうが。
なのに、邪魔扱いするはずもない矢巾の事を心配して泣いてんのか。ふざけんな。
お前が泣きそうになったり、泣いたりしてんの見るとイラつくんだよ!

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