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君が独りに慣れる前に【銀時】

第1章 俺の前では


「なにすんのよ!!」


横の店で、何やら喧嘩が起きているようだ。
ちらっと横目で見ると薄汚い着物を着た女の子が店のババアを敵意をむきだしにして睨んでいた。


「人殺しの娘が何言ってんのさ!ここはあんたみたいな汚いやつが来ていいところじゃないんだよ!!」

負けじと店のババアが女の子に声を荒らげて肩を押した。
女の子は吹き飛び、そのまま俯いている。


なんだか可哀想だな、
まぁ何があったのかしらねぇし、金もねぇし
ここはすまねぇが通りすぎさせてもら…





「私はあんな奴と一緒にされたくない。私は自分の手を汚したこともない…」

通りすぎようとすると、女の子はそう言いながら立ち上がる。それにババアは、まだくるか。と睨みをきかす




「ふんっ!そんな汚れた着物で言われても説得力にかけるねぇ」

けらけらと馬鹿にしたように、ババアはその子の髪をひっぱり頭を押してまた地面に倒した。



「……あんた達の方がよっぽど人で無しよ!!私なんかより最低で、汚くて…」

「うるさいねぇ、そろそろ黙らないか」

そういい女の子に近づくババア。
それを見ていた俺は、我慢できずに体が動いてた。



「何があったのかしらねぇけどよ、そりゃァないんじゃねぇの?こんなにかわいい子に、そんなひどいことしてたら、あんたの老け顔が、更に老けて見えるぜ」

「なに…!?このひと!」

「なぁに、ただの通りすがりのもんだ」

「…!」

驚きと、誰。という顔で見つめる女の子の腕を引き、俺はその場を去る。うしろでババアが何か言ってるが知らねぇよ

「…あなた……」

「勝手な事して悪かったな。あのババアの言ってることが気に食わなかったもんでよ」

「……」

「…ん?どうした」

「余計なことを…」

「え」

「余計なことしないでよ!私に助けなんていらない。迷惑!!」

「おいおいお嬢ちゃん、助けたやつにそれはねぇんじゃねぇのー?」

そう言って肩に手を置くと、ぱしっと手をはじかれた。

「…触らないで、あなたまで敵が増えるわよ」

そう言うと女の子は辺りを見渡した。
そこには軽蔑の目で俺たちを見る奴らで溢れている。




「なんだ……?」

「私は人殺しなんだってさ、だからほうっておいてよ」

そう言うと、女の子は走って薄暗い狭い路地へ消えて行った。
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