第2章 懐妊 三成
「おめでとうございます!」
病院の先生は溢れんばかりの笑顔での懐妊を報せてくれた。
「う、嘘っ、本当ですか?!」
「えぇ、お体大切になさってくださいね」
優しい女の先生は丁寧に色々な説明をしてくれて、も、横でそれを聞いていた三成も優しい顔をしていた。
「…三成、大丈夫?」
「なにがだ」
「そのー…経済的な面で」
すると三成は鞄の中から通帳を取り出し、に手渡した。それを開いたは驚きすぎて通帳を手から落としそうになってしまった。
「え?!な、なにこれっ」
貯金額は500万程だった。いったいこれはどうやって貯めたのかと三成に聞けば得意げな顔で
「私にできないことなどない」
そう言ったきり何も言わなかった。
三成はきっとこの事を見越して今まで頑張って働いてくれていたんだ、とは通帳が涙でぬれないように三成に返した。
「ありがと、怖がってたのは、私だけだったんだね…っ」
「これから苦労するのはだ。出産も育児も、私には手伝えない事が多くなるだろう」
「うん…」
「…だから、私は金銭面では苦労はかけない。何も心配させることがないようにこれからも勤める。だからと言ってが育児の責任を全て負う必要などないが。」
苦労するときも、喜ぶときも、涙を流すときも、全て共有しよう。
三成は今まで見たこともないような笑顔でにそう語りかけた。
「や、やめてよ。また惚れるじゃん…」
「好きなだけ惚れろ、私から離れることなど許さん」
「うるさいなぁ…へへ」
新たにこの地に生が産み落とされる日はそう遠くない。
END