第3章 収録
すぐに電話が鳴る。
画面には、有川 有人の表示。
私はためらいながら、通話ボタンを押した。
「はい」
「美月ちゃん。何で切ったの?」
「だって、邪魔だと思って…」
「邪魔だったら出ないし、そもそも電源切っとくけど」
そういえば、あの時、ホテルに入ったらすぐ、ユウトは電源切ってたっけ…。
でも…
「それより、連絡遅くない?」
ちょっと怒ったみたいに言うユウトに対し、私は言い返す。
「それは、アドレス入ってるなんて思わなかったもん。
何で私の連絡先、聞かなかったの?」
「だって、美月ちゃんは俺のこと、忘れたいかと思って。
よかった。連絡くれて。
今日飯食いに行こうよ」
「えーっ、ちょっとゆうと…」
また受話器の向こうから女の人の声…。
いいのかな?
戸惑って返事をできずにいると
「19時に○○駅。 前と一緒だね。じゃ」
電話は切れた…。
やっぱりユウトって、色んな女の人とあんなことしてるんだよね。
すごく、慣れてたもんね。
でも、慣れてるならなおさら、ユウトに相談するのが一番なのかも…。
私は支度を始めた。