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僕の小説のモデルになってください

第4章 一生、忘れない


『もうすぐ期末テストだね』

「あぁ、そっか。もうそんな時期だね」

藍田くんからの電話。

彼はなんだか嬉しそうに話す。テストの話なのに。

『みなみ、勉強苦手だろ? 僕が教えてあげようか?』

彼が得意げに持ちかける。

「んー…、別に。わたし赤点さえ取らなければいいし。勉強好きじゃないし…」

私の答えに彼が少しがっかりする。

『えぇ…。しようよ、勉強。一緒に…』

「藍田くん、したいの?」

私は聞いてみる。

『うん。なんか青春って感じだろ? テスト前に一緒に勉強って』

彼は嬉しそうに答える。

「そうかなぁ」

『そうだよ』

……

翌日の放課後。

私は自分の家の最寄り駅のひとつ手前の駅に、一人で降りる。

駅のホームのベンチで座ってた藍田くんが駆け寄ってくる。

「よかった。来てくれたんだ」

彼がニコニコ笑う。

ここは藍田くんの家の最寄り駅。

「こんな面倒なことしないで学校から一緒に帰ればいいのに」

私は言う。

「だって誰かに見られるかもしれないだろ? 川口とか…さ」

「別にわたし見られたっていいけど」

答えながら、私は思う。

もしかして藍田くんが見られるの嫌なの?

前はときどき一緒に帰ってたのに…。

「まあ、こういうのも楽しいかなって。行こう」

彼は私の手を握って引っ張る。



彼は私の手を握ったまま、彼の家への道を歩く。

「ねぇ、これは誰かに見られてもいいの?」

私は素朴な疑問をぶつける。

「うちの高校の生徒、ほとんど見ないよ。この辺で」

彼は答える。

「でも、藍田くんの中学の知り合いとかに会ったりしない?」

「僕のことなんて誰も覚えていないよ」

私の質問に彼はにっこり笑う。

まあ…藍田くんがいいなら私はいいけど…。

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