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僕の小説のモデルになってください

第3章 君の泣き顔、好きだよ


翌朝、教室に入る。

いつものように、自分の席で本を読んでいる藍田くんの横を通って自分の席に向かう。

ふと藍田くんが顔を上げ、私の顔を見る。

彼は軽く微笑む。

そして口パクで

お、は、よ、う

って。

……。

私は思わず軽く会釈して通りすぎる。

自分の席に着く。

机にカバンを置いて、その上に突っ伏す。

だって多分、顔が赤いから。

なんなんだろ、もう。

付き合ってるのは周りに内緒

みたいな設定なのかな。

昨日の付き合い始めのカップルみたいな電話とか

みなみって呼んでいい? とか

もう、なんなのよ…。



今まで以上に私は、同じ教室に、近くにいる彼が気になって仕方ない。

授業中、音読してるときも彼だけに聞かれてるような気がして声が震えそうになる。

休み時間、友達とおしゃべりしてても聞かれてる気がして気になっちゃう。

なんでこんな生きづらい世界になっちゃったんだろう。

藍田くんは学校では全然話しかけて来ないくせに、あれから毎晩のように電話をかけてくるようになった。

そんなたいした話はしない。

宿題した? とか、声が聞きたかったんだ…とか。

だいたい彼が一方的にしゃべって最後は「おやすみ」って言って切る。

私は彼から電話がかかってくるのを期待して、早めにお風呂に入って宿題して待つようになってしまった。

たまにかかってこない夜はなんだかすごく寂しい。

そんな電話なんてないのが普通だったのに。

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