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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第12章 夜風


攻撃を仕掛けてくる敵に、リンとスモーカーは背中を合わせて応戦する。海桜石が外れていないリンは、力が入らない体を無理に動かし、攻撃をスルリと流す。
しかし、それもすぐ限界に陥る。

「うっ…」

力が入らずにふらついたところを狙われ、脇腹に痛みが走る。
剣を引き抜かれ、ドサッと倒れた。

「!!」

スモーカーがすぐに気づき、敵をなぎ払い、リンの羽織っていた正義の服を破いて包帯代わりにし応急処置を施す。

「ごめ…なさ…」

「すまねぇ…おれの不注意だ。海桜石つけられてるってのにおれが…」


『そいつをここから逃す‼︎!一旦おれに預けろ‼︎!おれは医者だ‼︎!』

「…あれ…?」


朦朧とする意識の中、ローの声が聞こえた気がした。

「どうした」

「いや…なんでもない…ヴッ‼︎」

起き上がろうとすると激痛が走った。

「無理に動くな!」

「…ハァ…ハァ…だって、今この瞬間に消えてく風…消えてく声は、意味のないものでしょ?それを止めなきゃ…ゲホッゲホッ‼︎」

「……‼︎」

スモーカーはドキリとした。
先ほど自分も思っていたのだ。正義も悪も、勝ってなお渇くばかりだと。

「あの時と同じ…風が消えていく。声が、消えてく…」

応急処置を施した布にも血が滲み始めていた。目は朦朧としている。

「おい!しっかりしろ‼︎」

スモーカーが呼びかけるも、多量出血により顔色がどんどん悪くなっていくリン。



「おい、そいつをかせ」

突然目の前に現れた男に、スモーカーは目を見開く。

「お前は……何故ここに…!?」

「少なくともお前らよりは早く治療できる。そいつは死なせられねぇんだ」

赤い髪の男はリンを抱き上げると、スタスタと歩いて行った。

「久々の再会だってのにお前はまたボロボロで、こんな戦場に紛れて…。大きくなったな、リン。この様子じゃ、おれが言ったことをしっかり理解してくれたんだな」




その数秒後。
コビーが声を張り上げる。

戦いが一瞬止まる。
それに憤怒した赤犬がコビーを始末しようとしたところを、海兵の制服を着た1人の少女を担いだ赤い髪の男が阻止する。


そして赤い髪の男、シャンクスは、こう言った。

「この戦争を、終わらせに来た‼︎!」
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