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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第2章 一山いくらの林檎 後


牛尾が先程の布団を持ってきてあたしにかける。
部屋の照明が落とされた。

・・・こ、これはつまり、そういう事でしょうか?
あたしだって処女じゃないし、覚悟していた事ではありますが!
牛尾と!?牛尾とですか!?それはちょっとあたしの心臓が持たないかと!!!

ぎしっとベッドが揺れて、牛尾があたしの横に腰掛けた。思わず全身の筋肉がぎゅっと固まる。
でもそこから牛尾が動く事は無くて、数秒時間が止まったようにあたし達はぴくりとも動かなかった。
よ、横にならないの?何?なんで何もしないの?
何が何だか分からなくなったあたしは、牛尾がどう出るか、それだけを静かに待った。



ようやく起こったアクションは、牛尾からあたしへの呼びかけだった。
「寝るならちゃんとベッドで寝るんだよ。」
降って来た声は、どう聞き取っても汚い物からはかけ離れた、慈愛に満ちた聖者の声。

・・・もうあたしにはあなたの考えが全く分かりません。

イケナイ事を考えていたあたしは恥ずかしくて恥ずかしくて、枕に顔を埋めるように寝返りを打った。
牛尾はまたあたしの頭を優しく撫でる。そんなのダメだと思うのに、体は思い切り甘えてしまっていた。
恐る恐る見上げた牛尾の顔は、カーテンの隙間から漏れる明かりで表情の判別ぐらいはついた。
いつもと変わらない、人当たりのいい優しい笑顔。
「プレゼントは考えておくね。今はおやすみ。」
どこまでも優しい牛尾は、シチュエーションもあって何だか神秘的ですらあった。

だからこそあたしには牛尾が信じられなかった。
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